死刑執行人

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掻いた手を離し、カズハは二人を睨み付ける。 「何度も部下の手を煩わせるのも隊長として問題があるわね……。貴方達、三つの選択肢の中から好きなのを選びなさい」 カズハはそう言って指を折りながら口を開く。 「医務室行きか、軍病院行きか、霊安室行きか」 ドランツ達は再び吹き出した。 身を震わせ、何も言えないでいる下士官二人に対し、笑顔に戻ったカズハは舌を出してこう言った。 「時間切れ。安心して?私の地位と権限で貴方達の二階級特進を約束するわ。おめでとう、准尉さん」 言うが早いか、足払いをして一人を転かしたカズハ。 ブリーフィングルーム前の廊下に、断末魔の絶叫が響いた。 ――事が済んだカズハは溜め息を漏らし、中庭のベンチに腰掛けた。 下士官二人はドランツ達に任せ、自分はさっさとその場を後にした。 空を見上げ、また一つ溜め息を漏らす。 「無理も無い、か。暫くは離隊届の受理に追われるだろうな……」 面倒な話である。 副官が居ればそれに押し付けるのだが、現段階では未だその席は空位のままだ。 キスリングが出来なかった仕事を替わりにするつもりだったが、いざそうなると面倒な事この上ない。 「私……隊長に向いてんのかな……?」 副官になった時も抱いた疑問だ。 その疑問が晴れないまま隊長になったのだ。 今のカズハに分かる筈も無い。
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