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「た、隊長殿!」
カズハは見上げた顔を発言者の方に向けた。
デル・ヘンケル隊の軍服を来た少女、年の頃はカズハとあまり変わらない様に思える。
「あたしは――あ、いえ!小官はリリィ・スピア上等兵と申します!小官は隊長殿に憧れてデル・ヘンケル隊に入隊しました。本来、小官などがお声を掛けられる方では無いと知りつつ、失礼を承知でご挨拶をさせて頂きました!」
カズハは溜め息を漏らさずにはいられなかった。
キスリングはこんな気持ちだったのか、と思うと少し申し訳ない事をしたと思う。
「その喋り方なんとかならない?普通で良いよ」
キスリングの気持ちが分かったカズハは、一年前キスリングが言った言葉をそのまま口にする。
だが矢張り一年前のカズハと同様、スピアは困った顔をするのだった。
「じゃあ私も同じ言葉遣いで喋るよ?良いの?」
「そ、そんなの困ります!!止めて下さい!」
「そうそう、その調子で話してみよっか」
けらけらと笑うカズハに対し、困り顔のスピアもそれに倣った。
カズハはベンチの端に移動し、スピアも座れる様に席を譲る。
中々座らないスピアに対しカズハは……
「じゃあ私も立つよ?良いの?」
と言ってスピアを座らせるのだった。
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