アナタとワタシ

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例えば、 ここにある一本の煙草に火を付けて置いておくとしよう。 部屋は閉め切ってしまおう。 部屋の中にあるベッドや机、タンスはあなたの友達。 煙草を受ける灰皿は、 今、あなたを一番支えてくれている人。 部屋はあなたを取り巻く環境だ。 さっきの煙草からは煙が上がっている。 クセのあるニオイ。 そうやってニオイを上げていれば、家具達もそのニオイが染み付いてしまう。 もしかしたら、 その家具達は煙草を持たないにもかかわらず、そのニオイを発し始めるかもしれない。 もしかしたら、 その家具達はニオイが染み付くのが嫌で、自ら部屋を後にするかもしれない。 もしかしたら、 灰皿は灰でいっぱいになって、こぼれ落ちてしまうかもしれない。 もしかしたら、 灰皿は支えきれなくなって、自らの意思でひっくり返るかもしれない。 家具達が望んだわけではない。 灰皿が望んだわけではない。 あなたはそれを後悔するかもしれない。 何故なら、 家具達は、 あなたが作ってきた歴史。 灰皿は、 あなたが必要としてきた心。 あなたが作ってきたモノ。 それを捨ててまで、 煙草を燻らせる必要があるのだろうか。 何より、 煙を上げた煙草自身が煙に巻かれているのだ。 だから、どうだろう。 窓を開けてみないか? だから、どうだろう。 灰皿を洗ってみないか? だから、どうだろう。 煙草を崩してみないか? さぁ、あなたは? .
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