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目を細めて光の方を覗く。
意を決して勢いよく目を開ける!とそこは自分の部屋だった。
「え?あれ?朝?夢?」
気が付くと、布団のシーツがお漏らしをしたのかと疑われるくらい濡れていた。
「やっべぇ、干さな!」
俺は急いで布団からシーツをひっぺがえすと、それを自分の部屋の一番風通し且日当たりが良い場所に干した。
「さて、シャワー浴びて着替えるか。」
ドタバタと階段を降りると、母さんが玄関先で誰かとお喋りしている姿が見えた。
(朝っぱらから誰と喋ってんだ?)と後を素通りしたところで「玲(れい)くんおはよう!」と明るい声で呼び止められた。聞き覚えのある声に振り返ると、そこにいたのは幼馴染みの実華(みか)だった。
「は?何でお前いんの?」
面倒臭そうに頭やら腹やらをかきながらその場に立ち止まると、母さんがニヤニヤしながら「お迎えだってょ♪」と鼻歌混じりに言った。
「はぁ?」
体をボリボリかきながらリビングにある時計を覗き込む。
「は?ヤベ!遅刻じゃんか!」
俺は慌てて浴室へ駆け出した。すると、後からクスクス笑いが聞こえた。母さん達だ。
「何呑気に笑ってんだよ!実華、お前も遅刻だぞ?」
「何言ってんの玲くん。今日は休みだよ?」
「は?」
言われてみれば、実華は制服姿じゃない。
「う~わ。騙されたぁ~」
嘆きながら浴室のドアを勢いよく開けて逃げるように中に入り込んだ。入った途端に母さん達の大爆笑する声が聞こえた。
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