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この手はもう汚れていて 輪郭さえも闇にさらわれ定かではない 感覚さえも麻痺して 痛みすら、感じない。 あァ、だから繰り返すんだ 悪夢の惨劇を。 薄暗い闇の中。 月明かりだけがぼんやりと見える視界でその手は動く 握った手の中には、僅かな光をあつめているかのように 白銀に鋭く存在を主張して。 鈍い、肉を引き裂くような感覚と共に、 鉄を混じったその香りがした。 悲鳴なんか聞こえない。 聞こえないように喉をかき斬ったんだから。 白は良く闇に映える。よく分かる。 だって目を大きく開けて見てくるんだもの匂いが心を乱す興奮が抑えられないあぁ愉しい愉しい 生暖かいそれが俺を濡らす。 服もそれを吸って酷く重い。 でもそれすらも気にならない。 すぐ近くの家に灯りがついている人影がみえる あははははははははははははははははははははははははははははははははははははは 醜い!醜いねぇ!!!あんたのすぐ近くに人は居るのに誰も気付いちゃくれないんだよ!!!誰にも気付かれずに死んでゆくんだよ!!!
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