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「セバスチャン、今日もいい天気だね」
満面の笑みで背後から、セバスチャンの肩をポンッと叩いた。
気配をまったく感じさせないユーゼフは人間ではない、と言う噂は本当かもしれない。
チィッと舌打ちしたあと、セバスチャンは、執事スマイルでユーゼフに挨拶を交わす。
「--…そうですね。ユーゼフ様。貴方にとっては、こんな嵐の中でも吹き飛ばされず、優雅にティータイムも楽しく過ごせるでしょう」
笑顔でも、どこか遠くを見るような瞳で、冷静に答えるセバスチャンに溜め息がもれる。
「相変わらず、君は可愛くないね」
「…ご用がなければ、失礼します」
踵(きびす)を返して、その場を去ろうとするセバスチャンを、ユーゼフが見逃す筈はない。
「ハーやれやれ。これで可愛くなってみてよ」
プシューとスプレーが噴射して、セバスチャンの身体を包み込んだ。
みるみるうちに小さくなるセバスチャンを楽しむユーゼフの背後から、デイビッドとヘイヂが駆け付けた。
「ハニー。ごめんよ。この足じゃ、お向かいサンに追いつけなかったんだよ」
幼児化して短くなった可愛らしい足を見せて、溜め息をついたデイビッド。
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