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「自己満足でいいんじゃねぇの?」
淳也の言葉にヒーローは反発したいという感情がわきあがった。
自己満足かもしれない。
それで悩んでいるのに「自己満足でいい」そんな適当な回答。
ふつふつとこみ上げる、悲しさと怒り。
言葉に乗せて、吐き出した。
「ふざけないでください! こっちは真剣に悩んでるんです」
淳也はそんなヒーローの怒りを気にすることなく、ペンを取り出し、紙の上に走らせた。
その紙をヒーローに突きつける。
「己の欲せざるところ人に施すことなかれ?」
聞いたことのない言葉だった。
ここに来て、知らない言葉ばかりが耳に飛び込んでくる。
宇宙の地球教育なんて高が知れている。
「それ、宿題な。家で意味調べて、わかったらまた来い。わかんなくても来い。いつでも開いてる」
怒りの矛先を逸らされ、拍子抜けした形になったヒーローは、淳也から手渡された紙を持ち、部屋を後にした。
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