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青々と元気よく生えている雑草は刺々しさを持っていた。
そのままだとヒーローの薄すぎる戦闘服は効力をなさず、むずがゆさが全身を走ることになる。
「ごめんね」
そう言いながら足で草を踏みつけ、平らにしていく。
数分の格闘の後出来上がった、ミステリーサークルのような円上のスペース。
大の大人が一人座るには充分過ぎるほどだ。
そこにヒーローは腰を下ろし、淳也から渡された紙を広げた。
意味を調べてこい。
そう言われたものの、意味を調べる道具などない。
「そうだ!」
彼の声で木に止まっていた鳥たちが一斉に飛び立つ。
しかしヒーローにとってそんなことはどうでもいい。
意味を調べることができる。
それがわかったことで、高揚感の中に浮いているのだから。
携帯の辞書機能を使う。
この間までは上司の命令を運んでくるだけのパシリでしかなかった。
たが辞書機能を思い出したことで、知りたいことを教えてくれる先生に格上げされた。
さっそくヒーローは慣れない手つきで正体不明の日本語を打ち込む。
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