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淳也との通話が終わり携帯を閉じる。
まだ意味を調べ終わったわけではないが、指示があったので先のカウンセリング室へ向かうことにした。
意味のわからない宿題を出したり、人の携帯番号を勝手に見たりと。
人格を疑いたくなるところが端々に見受けられたが、自分のことを気にかけてくれている。
それは嬉しく、なんだかむず痒いものであった。
森から抜け、空へと舞い上がる。
淳也がいる場所は森からさほど離れてはいない。
普通に飛んで行っても五分は掛からない距離である。
しかしヒーローは全速力で向かうことにした。
自分の底知れぬ悩みを解決してほしいという思いもあったが、淳也を話していたい。
そういう思いもあった。
すっかり暗くなった上空を淳也目指して飛行していく。
暗いのは空だけで、地上はネオンの光に満ちている。
明るいネオンの中で人は何を悩んでいるのだろう。
自分と同じ悩みはあるのだろうか。
幾分かナイーブになった心は、ヒーローの考えに感傷的なものをもたらした。
明るい大都会の看板。
その中に暗く光らない看板がある。
淳也のものである。
ヒーローはすぐさま着地し、建物の中に入っていった。
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