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ヒーローがふと顔を上げると時計が目に留まった。
淳也と話し始めてから数十分が経っていた。
目の前の淳也は黒い万年筆を回している。
途切れた集中力はなかなか戻りにくいもので、自己中心的で利己主義名考えと『己の欲せざるところ人に施すことなかれ』の結びつきが理解できない。
なおも淳也は万年筆を回している。
その回る万年筆を眺めているうちに、「考える」という思いが頭を支配し始めた。
きっと答えは今までの会話の中にあるのだろう。
ヒーローは入室してからの会話を思い出してみる。
「己の欲せざるところ人の施すことなかれ」の根底にはエゴイズムがある。
「欲せざるところ」、してほしくない所は人それぞれである。
これが自分の最大の悩みである、「自己満足」をどう解決してくれるのだろうか。
そんなことを考えながら、論語の真の意味を考察する。
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