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淳也は由美のことが好きだった。
一目惚れだった。
バイト先で見たときに胸の奥からこみ上げてくる強い衝動。
自分だけのものにしたい、そういった独占欲が恋愛感情だと気がつくのに時間は掛からなかった。
淳也に連絡先をきだとか行動を起こす勇気は無く、ただただいたずらに時間を過ごすことしかできずにいた。
偶然二人きりのシフトになったとき、由美の方から連絡先を聞いてきた。
その日から、お互いにメールのやりとりをするようになった。
バイトのこと、学校のこと、他愛もない内容ばかりだったが淳也にとってはどれも重要だった。
ある日、初めて由美から電話がかかってきた。
受話器越しに泣きながら話してきた。
彼氏に二股をかけられていた、捨てられた。
前の淳也なら無視をしていただろう。
たが、好きな由美が泣いてるのを淳也が放っておけるはずがなかった。
必死に慰めた。
少しでも自分に気持ちが動くようにと。
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