空の受け止め方

5/10

88人が本棚に入れています
本棚に追加
/41ページ
純粋に力になってあげたいという気持ちと、あわよくば自分の方を向いてもらおう、という不純な気持ち。 淳也は自分が嫌いになった。 なぜ好きな人が泣いているのに喜びを感じる自分がいるのか、と。 そんな時だった。   「淳也君と話してると気分が楽になるよ。カウンセラーやったら?」     それから自分の進路を変え、カウンセラーになるため勉強を始めた。   淳也が未来を決めるきっかけとなった張本人が、未来を絶つ。 そう言っていることが、淳也には理解できない。 だから、止めようとしているのだ、由美の自殺を。   話し掛けるしかない。 あの時と同じように、「気分が楽になった」と笑って言ってくれるまで。   震える足で重力に逆らい、垂れる汗を拭い、話し続ける。
/41ページ

最初のコメントを投稿しよう!

88人が本棚に入れています
本棚に追加