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純粋に力になってあげたいという気持ちと、あわよくば自分の方を向いてもらおう、という不純な気持ち。
淳也は自分が嫌いになった。
なぜ好きな人が泣いているのに喜びを感じる自分がいるのか、と。
そんな時だった。
「淳也君と話してると気分が楽になるよ。カウンセラーやったら?」
それから自分の進路を変え、カウンセラーになるため勉強を始めた。
淳也が未来を決めるきっかけとなった張本人が、未来を絶つ。
そう言っていることが、淳也には理解できない。
だから、止めようとしているのだ、由美の自殺を。
話し掛けるしかない。
あの時と同じように、「気分が楽になった」と笑って言ってくれるまで。
震える足で重力に逆らい、垂れる汗を拭い、話し続ける。
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