日常

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  彼女と仕事をするようになって、2ヶ月。未経験とは思えない仕事ぶりは、いつも俺を驚かせている。   「じゃあ、外回り行ってくるよ……ああ、さっきの件、ヤバかったら早めに連絡くれ」   「分かりました。クライアントの対応が終わったら、一度報告を入れます」   手助けは必要ない、彼女の顔は自信に満ちていた。       彼女が電話をしていた、佐々木というスタッフ。仕事は出来るようだが、行く先々で問題を起こしている。そろそろ、何とかしなくてはならないが、彼女が「任せろ」と言っている以上、まだ俺がしゃしゃり出る必要はないだろう。   万が一トラブルが大きくなったとしても、彼女には、それも良い経験。今は、もう少し様子を眺める事にしよう。       「出勤率が良くないな」   俺は、得意先を回り、各現場の責任者と打ち合わせをしていた。   本来、週始めか週末に行う業務だが、2日も休んでいたのと、年末年始の長期休暇明け、各現場の状況確認と、問題の対策指示の為、一社ごと回る必要に迫られていた。   「地方出身者で、帰省したまま戻らない者の数が、予想を超えていまして……」   「穴埋めは?」   「一応、月内に人員の補充をする方向で、指示は受けています」   「何人だ?」   「5名程……」     やれやれ……全てが事後報告。管理を任せている、彼等のスキルアップが先決だと思い知らされる。       各現場の責任者が似たり寄ったりで、全ての把握と、クライアントへの報告を終えた頃には、夜の8時を過ぎていた。       「おつかれ」   「お帰りなさい」   彼女は、コーヒーと一緒に、求人広告の版下を差し出す。   「来月の原稿、締め切り過ぎてたんだけど……」   しまった、募集数を増やしときゃよかった……。   「ねじ込んでおきました。あと、出来れば入社祝い金も謳いたいのだけれど……」   「間に合うのか?」   「入稿を止めさせてますから」     さすが、彼女は本当に良く気が回る。現場の責任者連中に、爪のアカでも煎じて飲ませたい。       「ああ、アイツがたまには、家に寄れって言ってたぜ?」   「うん、こっちにもメールが来てた」   彼女と妻は、大の親友。       「じゃあ、今日は終わりにしよう、ウチに寄るだろ?」       彼女……。       あおいは、ニッコリ微笑んだ。
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