憂鬱…だったかな?

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普段の敬語とは違い地の言葉で話しかけたのを聞いて漣は驚き氷室は静かに微笑んでいる 「ありがとう これで完成させる事が出来る 御厨君には本当に感謝しているよ」 そう言って絵を受け取ると机の上に置き布を取り去った そして教室の真ん中にある台に乗せまたもといた教壇の前に戻る 俺は戻った事を確認するとブレザーのボタンとYシャツの第二までのボタンを外しポケットに手を突っ込んだ コレが自然体の俺なのである 氷室はもう自分を作ってはいない ならば俺も作る必要は無いだろう オレ流の礼儀だが口が悪くなっているあたり礼儀のへったくれもあったもんじゃないだろう それでも氷室は嬉しそうに笑っている… 「さて、直球本題 何でこんな事したんだ?」 「………とは?」 楽しそうに返事を返した …なるほど…… 俺の回答を聞きたいらしい… 「まず最初の疑問 何故見ず知らずの俺に話を持ってきたのか… これは後回しにして次の疑問に移ろう お前は俺に詳細を説明するときに絵が“見えなくなった”と言った 妙な言い回しだと思ったが要は見つければいいんだろうとあまり気にしなかった でも、これはお前なりのヒントだったんだろ? …そして暗号を見せた おかしいってすぐに思ったよ 欲しくて盗んだんなら必要ねぇんだ…暗号なんて… でも、実際あるんだから“犯人”はそれが欲しかった訳じゃないのは容易に想像できる しゃあ何故?と疑問がまた残るわけだ」
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