230人が本棚に入れています
本棚に追加
第十五夜話 放送室
ここの入り口の内側の扉、引っ掻き傷がすごいだろ。
そういえば、すごいよな。何だこれ。引っ掻き傷なのか?
そうだよ。人間のな。
人間?
ここの木造校舎古いだろ。
ああ、かなり古いよな。
昔はこの学校はこの木造校舎しかなかったんだけどさ、…この放送室で一人、人が死んでるんだよ。
…本当かよ。
ああ…。 昔、放送委員の先輩が夏休みに入ってすぐ、私物を取りにこの放送室に来たらしいんだが、ちょっと休んでるうちに寝てしまったらしいんだわ。
それで?
まさか放送室に人がいるなんて思いもしなかったらしく、用務員さんは外から鍵を掛けて家に帰ってしまったらしいんだな。
中にいた先輩は起きた後、家に帰ろうと思ったがドアが開かない。焦って大声を出したが、誰にも聞こえない。
発見されたのは夏休みが終わった後だそうだ。
ドアの内側は無数の引っ掻き傷があり、遺体の爪の半分ははがれていたらしいわ。
…かわいそうに。
この話にはまだ続きがあるんだ。
え?…何だよ。
そこに古いレコードがあるだろ。
ああ。
そのレコードは先輩がこの部屋で死んだ時にレコードプレーヤーにあったものだ。
そのレコードをかけてある部分にさしかかると微かに声が入っているんだよ。
開けて…。ってね…。
恐い話だな…。
二人は、ドアの内側についている傷を改めて見つめた。
最初のコメントを投稿しよう!