第十五夜話 放送室

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第十五夜話 放送室

ここの入り口の内側の扉、引っ掻き傷がすごいだろ。 そういえば、すごいよな。何だこれ。引っ掻き傷なのか? そうだよ。人間のな。 人間? ここの木造校舎古いだろ。 ああ、かなり古いよな。 昔はこの学校はこの木造校舎しかなかったんだけどさ、…この放送室で一人、人が死んでるんだよ。 …本当かよ。 ああ…。 昔、放送委員の先輩が夏休みに入ってすぐ、私物を取りにこの放送室に来たらしいんだが、ちょっと休んでるうちに寝てしまったらしいんだわ。 それで? まさか放送室に人がいるなんて思いもしなかったらしく、用務員さんは外から鍵を掛けて家に帰ってしまったらしいんだな。 中にいた先輩は起きた後、家に帰ろうと思ったがドアが開かない。焦って大声を出したが、誰にも聞こえない。 発見されたのは夏休みが終わった後だそうだ。 ドアの内側は無数の引っ掻き傷があり、遺体の爪の半分ははがれていたらしいわ。 …かわいそうに。 この話にはまだ続きがあるんだ。 え?…何だよ。 そこに古いレコードがあるだろ。 ああ。 そのレコードは先輩がこの部屋で死んだ時にレコードプレーヤーにあったものだ。 そのレコードをかけてある部分にさしかかると微かに声が入っているんだよ。 開けて…。ってね…。 恐い話だな…。 二人は、ドアの内側についている傷を改めて見つめた。
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