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第十九夜話 es
ラブホテルの一室で警察官の格好をした男が、上半身だけ囚人服を着せられてベッドに縛られている女に向かって罵声を浴びせていた。
「お前が殺したのはわかっているんだ!早く自供しないと…わかってるだろうな。この糞野郎!」
男は女の髪を掴み顔に平手打ちをくらわせた。
「ギャッ!」
女は殴られたまま小さく呼吸をしていた。
男は女の身体の上に乗り女の唇に自分の舌を這わせた。
女の口から微かな吐息が漏れた。
男は女の胸を強く握った。
「痛い…。」
「痛いか。そうかそうか。…ならばもっと痛くしてやる!」
男は女の胸の先端に噛みついた。
「痛、痛い!ちょっと痛いよ!」
男は噛みついたまま離さない。
「ちょっと!いい加減にしてよ!」
女は男に膝げりを食らわせた。
しかし、足も縛られているため思うようにはいかない。
「何考えてるのよ!限度があるでしょ!」
女は男に向かって怒鳴った。
実は、二人はSM専門のサイトで知り合い時間を作ってはこうして様々なプレイを楽しむ関係であった。
しかし、今日は何か様子がいつもと違っていた。
女の胸の先端からは微かに血がにじんでいた。
「ロープほどいてよ!」
「あ?誰に物を言ってるんだ。ああ?囚人の分際で、警察官にさからうつもりか!」
男は思いきり女の下腹部を殴り付けた。
女は悲鳴ともとれる叫び声を発した後、静かになった。
悪い奴は俺が裁いてやる。
男は、自分のアルミの鞄を開けた。
中には鈍く光っている包丁が入っていた。
男はすでに普通の人間ではなくなっていた。
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