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第二十二夜話 亡霊
これは、私が子供の頃体験した実話です。
私の実家は店を経営していたのですが、店をあがるとすぐに応接間があり、キッチンが右にあります。
そこの階段をのぼりきった所に私の部屋があるのですが、ある日夜中に皿を洗う音で目が覚めました。
ガチャガチャ…ガチャガチャ…
何だこんな時間に…。
お母さんかな…。
眠い目をこすり時計を見る。
夜中の3時だ。
ありえないこの時間に。
ガチャガチャ。ガチャガチャ。
ジャー!
誰だろう一体。うちだよな?…間違いない。
私は段々怖くなってきました。
ガチャガチャ。ガチャガチャ。
すると蛇口をひねり水が止まる音がしました。
キュッ!
…何も音がしなくなりました。
カチカチカチ…時計の針の動く音が聞こえます。
下に誰かがいるのは間違いありません。
すると…ギシ!ギシ!ギシ!ギシ!
誰かが階段を昇ってくる音がします。
ギシ!ギシ!ギシ!ギシ!ギシ!ギシ!ギシ!ギシ!ギシ!
ダン!
踊り場で音が止まりました。
止まったままです。
…何かがそこにいるのはわかりました。
私はドアの方を見ようとしました。その瞬間、強烈な何かの力で身体が思いきり縛られ全く動けなくなってしまいました。でも意識はなぜかはっきりしている。
試しに目を動かしてみる。
動く!動く!
声は!?…出ない!出ない!
お父さん!お母さん!助けて!…声が出ない出ない出ない!!!!
その時である。
ガチャ。
誰かが部屋に入ってきました。
首が動かない。
助けて助けて助けて!!!
…声が出ない。
何者かがこちらにくるのが気配でわかります。
歩く音はしないのだが近づいてくるのがわかるのです。
目だけは動きます。
誰だ!
男です。
そこには男がいました…。
髪は白髪まじりでところどころ抜け落ちていました。
目は異様に大きく見開きとてもこの世で生きているものではありませんでした。
口は裂けているのではないかと思う位、大きく、口角は上にあがっていました。
ボロボロの白い着物のようなものを纏い喉には太い釘が刺さっていました。
現実だ。現実に起きている。
時間は?…4時…5分か…。
時間を確認した後、私はそのまま気絶してしまいました。
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