第二十八夜話 純喫茶

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第二十八夜話 純喫茶

まあ、どこにでも古いお店には逸話と言うものがあるもので、私が当時アルバイトをしていた喫茶店にもやはりあったのです。 その店は戦後からあり中々趣のあるお店だったのですが、私がアルバイトで入店した後ある先輩からこんな話を聞きました。 実はな、昔この店の女子トイレで自殺があったんだ。発見が遅くてその女性は亡くなってしまったんだけど、その事件があってから誰もいないはずの女子トイレから女性の声が聞こえるらしいんだな。 …店長もそんな話しちゃうとみんないなくなっちゃうから黙ってるだけなんだよ。 私は、先輩の話を一応は聞いていましたが、そんなばかな、と言う気持ちもあり特に気にすることもありませんでした。 しかし、それから半年位過ぎたある日、私は店が暇でレジのところにずっと立っていました。 すると、一人の女性がレジを過ぎトイレに行きました。 私は、例の幽霊話などすっかり忘れていました。 ですからトイレなどお客さんは一日いくらでも使うので、それこそ気にしませんでした。
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