第二十九夜話 おいてけ…

1/2
前へ
/60ページ
次へ

第二十九夜話 おいてけ…

昔話でさ、おいてけ堀って言うのがあったろ? おいてけ堀? そうだ。 漫画日本昔話で見た気がするな。 まあ話とすると、あるお堀の魚を釣って持って帰ろうとすると『おいてけ~』と言う不気味な声がして魚を持って帰るの止めさせるって話だわな。 …で?その話が何? 実はここの土地にも似たような逸話があってな。 聞きたいか? 聞きたくないよ。 じゃあ、話してやる。 アホか! まあ、聞け。 あそこに神社があるだろ。 ああ…。 昔な、この土地の海女さんが夜中に集まり肝試しをしたらしいんだ。 それで? まあ、あの神社にお札を置きとって来るだけの単純なものなんだが、肝試しをするのは一人だけ。 成功したらみんなの今日の売り上げをあげようと言うものだったらしい。 でもそれだったら誰でもやろうと思うんじゃないのか? それがな… あの神社にもおいてけ堀と同じようなことが起こると言われていたんだ。 じゃあ、嫌だな…。 そこにチャレンジしたのが赤ん坊を背負った若い海女さんだったんだ。
/60ページ

最初のコメントを投稿しよう!

230人が本棚に入れています
本棚に追加