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そして迎えた朝、その日は、朝から雨が降ってた。
「昨日は寝れなかったな…」
昨日は、どうしても寝る事が出来なかった。つらくて、つらくて、泣きながらジュンに抱きついた。
車のエンジンが鳴る。正直、実感がわかなかった。
車に乗り込み、姉ちゃんがジュンを抱きしめる。おれより、一番悲しんでたのは、姉ちゃんだった。おれは、自分自身で、ジュンと過ごした時間は短かった。ジュンと仲良くなれて、散歩に連れて行ってからの期間は、3ヶ月くらいしかない。姉ちゃんは、ジュンを連れて来てからずっと一緒にいた。だから、一番つらかったのは、姉ちゃんだったと思う。
おれは車の中で、流れてく景色を、目を細めて見ていた。
もっと、遊んでやればよかった。もっと、長く過ごしたかった。後悔がつのる一方だった。そして…保健所についた。
車からジュンを抱きかかえ、降ろした。
「では、最後の面会です、何か言ってやって下さい。」
保健所の人がそんな事を言ったような気がした。
「ジュン、ごめんな、本当にごめん、何も出来なくて」
おれは、涙いっぱいにジュンを撫でながら言った。
そしてジュンは、薄暗いオリの中に入れられた。
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