ありがとう…

2/3

0人が本棚に入れています
本棚に追加
/17ページ
そして迎えた朝、その日は、朝から雨が降ってた。 「昨日は寝れなかったな…」 昨日は、どうしても寝る事が出来なかった。つらくて、つらくて、泣きながらジュンに抱きついた。 車のエンジンが鳴る。正直、実感がわかなかった。 車に乗り込み、姉ちゃんがジュンを抱きしめる。おれより、一番悲しんでたのは、姉ちゃんだった。おれは、自分自身で、ジュンと過ごした時間は短かった。ジュンと仲良くなれて、散歩に連れて行ってからの期間は、3ヶ月くらいしかない。姉ちゃんは、ジュンを連れて来てからずっと一緒にいた。だから、一番つらかったのは、姉ちゃんだったと思う。 おれは車の中で、流れてく景色を、目を細めて見ていた。 もっと、遊んでやればよかった。もっと、長く過ごしたかった。後悔がつのる一方だった。そして…保健所についた。 車からジュンを抱きかかえ、降ろした。 「では、最後の面会です、何か言ってやって下さい。」 保健所の人がそんな事を言ったような気がした。 「ジュン、ごめんな、本当にごめん、何も出来なくて」 おれは、涙いっぱいにジュンを撫でながら言った。 そしてジュンは、薄暗いオリの中に入れられた。
/17ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加