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女は一瞬なにを言われたのか分からないとでもいうかのように、ポカンと口を開けた。
その隙に車から滑るように降りると、振り返らずに足早に歩き出す。
「…ん?」
ふと視線を住宅地の奥にやると、見たことのない喫茶店が出来ていた。
「…へぇ。こんな所に喫茶店出来たのか…」
住宅地の中にぽつりと小さな喫茶店がある。
「気付かなかったな。
今度、菊と一緒に来るか。」
その喫茶店を横目に家路を急いだ。
この時はまだ、この喫茶店が美央との運命の出逢いの場所になるだなんて思いもしなかった。
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