壱の章、出会い

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リーンゴーン。 チャイム。 なぜかここはチャイムが『キーンコーンカーンコーン』ではない。 それもその筈。 わざわざ大きな鐘が校内のド真ん中にあるのだから。 「美波さん、当校では朝は読書の時間なのです。今日は全校朝会もあるので、クラスに向かうのは40分後ですね。 何か読みますか?」 言ったのは初老の女性。 どことなくセレブを感じさせる。 博士、いや親父が言うにはこの人は校長らしい。 「あ、いえ。結構っす。」 昨夜は親父は徹夜で俺に主に言葉遣いを直させようとした。 まぁ結果はまぁまぁ。 「いい恋愛小説が手に入ったんですけどね。 ちょうど年頃ですし美波さん程の美人さんなら興味ありません?」 「まったく。」 「あらあら。そう。 では、私はそろそろ準備があるので体育館に向かいます。 後からいらっしゃる水面さんには美波さんが昨夜に理事長から聞いた事をそのまま説明してあげてくださいね。」 「はい。」
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