窓際の放課後(not短編)

10/32
前へ
/81ページ
次へ
「あっそ。俺は帰って寝るかなー…………イヤイヤ嘘です。」     寝るって言った瞬間、登史の目がギラリと光った。…ような気がしたから慌てて否定ー。俺も紀一みたいに飄々とかわせる神経が欲しいよ…   「お前はここで勉強しておけ。小一時間程で戻ってくるから。な?」   「おー。つか戻ってくんなよ!!帰れ!!俺は勉強で漬け物みたいになりたかねーんだよー!!」   「ならなきゃ留年だろ?」     「…………」     「まぁ彼女がくれた飴全部やるからこれなめながら勉強しておけ。何か噛みながらか、なめながら勉強すると覚えが良くなるらしいから。」     「サンキュー。黙々と勉強するように努力はしますよ。努力は。」     登史は鞄の中から無造作に飴を出し、俺の机に置いて立ち去った。   朝方曇りだった空は今はもう土砂降りな位の雨足。 ケータイで天気予報を見ると夕方からは晴れらしい。   「あと2時間か…」     誰かに呟くように独り言を放ち、俺は明日のテストの勉強に集中した。
/81ページ

最初のコメントを投稿しよう!

773人が本棚に入れています
本棚に追加