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「あっそ。俺は帰って寝るかなー…………イヤイヤ嘘です。」
寝るって言った瞬間、登史の目がギラリと光った。…ような気がしたから慌てて否定ー。俺も紀一みたいに飄々とかわせる神経が欲しいよ…
「お前はここで勉強しておけ。小一時間程で戻ってくるから。な?」
「おー。つか戻ってくんなよ!!帰れ!!俺は勉強で漬け物みたいになりたかねーんだよー!!」
「ならなきゃ留年だろ?」
「…………」
「まぁ彼女がくれた飴全部やるからこれなめながら勉強しておけ。何か噛みながらか、なめながら勉強すると覚えが良くなるらしいから。」
「サンキュー。黙々と勉強するように努力はしますよ。努力は。」
登史は鞄の中から無造作に飴を出し、俺の机に置いて立ち去った。
朝方曇りだった空は今はもう土砂降りな位の雨足。
ケータイで天気予報を見ると夕方からは晴れらしい。
「あと2時間か…」
誰かに呟くように独り言を放ち、俺は明日のテストの勉強に集中した。
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