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「へ?って…!!」
和斗さんが腹を手で押さえて堪え笑いをした。
へっ?て言いたくなるって!!
なにそれ?俺?なんで俺??
「和斗さんがいきなりそんな事言うからじゃないですか!!笑わないで下さいよー!!」
笑われたのが少しムカついたから遠慮がちに言い返す。そんな俺に向かっていつまでも笑い続けそうな和斗さんが「笑い上戸なもので。」と苦しそうに言った。
…そんなに今の声おかしかったのか?なんか恥ずかしくなってくるんだけど。
てか熱い…もう流石に上がらないと体がやばくなってきそう。
ふっと前にいる和斗さんの目を見るといきなり真顔になったのがわかった。
「…?笑いは大丈夫ですか?」
なんとなく聞いてみる。いきなり真顔に戻ると怒ったみたいでなんか怖いなぁ。
「…涼貴…鼻血出てるし…!!」
「えっ嘘っ!?もう上がります!!熱いんで!!」
吹き出すように再び笑い出した和斗さんを横目に急いで立ち上がった。
瞬間、頭と視界が眩んで自分の体が勢いよい音で湯船に滑り込んだ。
そこで俺の意識は遮断された。
……頭クラクラする…
なんか体もふわふわしてるし…
あぁでもなんか風が気持ちいいな。
ここどこだっけ?俺何してたんだっけ?
風呂入って…和斗さんが帰ってきて…風呂に来て……
………!!
思い出して目を開けると、最近見慣れた自室の天井が見えた。
「あ、気がつきました?体大丈夫ですか?」
声のする方に目を向けると、ベッドの横にパジャマ姿で椅子に座っている和斗さんが居た。
手に持っている団扇が俺に心地よい風をおくってくる。
「あれ…?俺…なんでベッドなんですか?」
「のぼせすぎたんでしょうね。湯船に滑り込んだから慌てて引き上げたら気絶してましたから。お腹や足先は冷えると風邪ひくので、暑いかもしれませんが寝巻きのズボンとかけ布団は我慢して下さいね。」
「ズボン……すいません。服まで着せてもらって…。」
なんか気絶した後の和斗さんの行動を想像したら申し訳なさと恥ずかしさがこみ上げてきた。15歳にもなって他人に着替えさせられるなんて…。
あーもう!!…言ってさっさと上がればよかった。
再び目を閉じ思考を巡らしていると隣からクスッと笑い声が聞こえた。
「和斗さん…まだ笑ってるんですか?」
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