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目を開けて横を見ると、さっきの笑いとは違って少し微笑ましく笑う顔があった。
「いえ。自分にも涼貴みたいにのぼせて気絶した事があったなぁと思い出しただけです。」
「…次は思い出し笑いですか。ってか和斗さんが笑い上戸ってなんか意外ですね。」
「意外とか言うのは偏見でしょう?見た目と違って意外と普通なんですよ。」
「今自分で意外って言ったし…!!」
笑い出した俺に和斗さんが再び笑った。
なんかいいな。こういう雰囲気。
…家族ってこんな感覚なのかな?
「とりあえず飲み物とってきますね。水分補給しないと…飲み物何がいいですか?」
和斗さんは椅子から立ち上がって、俺に団扇を渡しながら言ってきた。
「あ~…冷たいお茶でお願いします。」
団扇で自分を扇ぎながら言う。本当はスポーツ飲料とかがいいけどここには無いしな…買いに行ってもらうのも申し訳ないし。
「わかりました。あ、涼貴…2つお願いがあるんですが聞いてもらっていいですか?」
ドアノブに手をかけて扉を軽く開けた和斗さんが動きを止める。
「なんですか?」
足元にいる和斗さんが見えにくいから顎をひき、少し上半身を浮かして目を向けた。
「まず…遠慮しないで下さい。それから…もうお互い敬語をやめましょう。その2つです。」
「…………わかりました。けど俺やっぱ時々敬語出ちゃいますよ?それは勘弁して下さい。」
「時々なら問題ないですよ。じゃあ……冷たいお茶を持って来たら敬語無しでいきますよ?」
「…はい。」
笑顔とは逆にどこか迫るような声で言った和斗さんに返事をすると、静かに扉が閉められた。
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