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敬語をやめるかぁ…
正直難しい気がする。
だって20歳近く年上の人にタメ口とか普通に考えると……有り得ないだろ!!
…家族や親戚間ならその位歳が離れていてもタメ口は当たり前なのだろうか?
白い壁紙の天井を見つめながら左手の団扇で顔を扇ぐ。
「お待たせ。冷たいお茶どうぞ。」
扉を開ける音と同時に和斗さんの軽やかな声が響いた。
「この時期に麦茶は家にないから玄米茶にしたけど…緑茶のがよかった?」
和斗さんは片手に冷たい玄米茶を持って、さっき座っていた椅子に再び腰をかける。
慌てて上半身を起こし、お茶を取ろうと手を伸ばすと一瞬頭がフラっとした。
まだのぼせてるんだな…どんだけ熱かったんだ自分…!!
「いえ、玄米茶のほうが嬉しいです。ありがとうございます。」
「…涼貴イエローカード一枚!!」
「…は?」
ありがとうございますと言った瞬間、きょとんとした顔をした和斗さんの表情がニヤリとした笑顔に変わった。イエローカード?なんだそりゃ?
「何?イエローカードって…」
お茶を受け取り目を見ると、和斗さんはくすりと笑った。
「敬語を一回使うとイエローカード。三回使うとレッドカード。レッドカードは……相手の言う事をなんでも聞く事。つまり涼貴はあと二回でレッドカード。」
「…はぁ。それは和斗さ…いや、和斗にも適用されるんだよな?」
危ない危ない。名前にさん付けも適用されたら大変だ…!!
「勿論。僕が敬語を使っても同じ条件。素直に涼貴のリクエストを聞くよ。」
「じゃあ…例えば……割烹料理が食いたいって言ったら?」
「勿論連れていきましょう。」
「あ!!今いきましょうって言った!!イエローカード!!」
両手で握り持っているグラスの中身がゆらゆら揺れた。
してやった感の俺とは逆の苦々しい和斗の顔がたまらなく面白い。
「お互いイエローカードは残り二回。どっちが先かな?っていうか涼貴、話する前に早くお茶飲んだら?下で晩御飯が待ってるよ。あとは揚げるだけだから。」
「あ、うん。一気飲みする。すっげー喉乾いてるし。」
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