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「僕は、養子として父に引き取られましたが……実際に血が繋がっているんです」
「本当の親子って事ですか?」
聡美の問いかけに、那智は頷いた。
「僕は愛人の子供で……小学生の時に母が亡くなったので、父と義母に引き取られました。
義母と父の間には子供が出来なかったので、跡継ぎとして仕方無く引き取ったそうです」
決して明るいとは言えない過去を淡々と語る康介は、どこか那智と共通する物を持っているように見えて、聡美からすると少々不気味だ。
「そんな事、誰が言ったんですか……?」
「僕が仁科の家に入った日から毎日、父と義母から言い聞かせられてきた事です」
「……信じられない。
自分の子供に、そんな扱い……」
「世の中には、そういう親子も存在するんですよ。
親を愛せない子もいれば、子を殺す親もいる――それが現実です」
「……え?」
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