#1 十年後

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「…よ……さ…」 なんだ? 誰かが呼んでる? てかなんでこんなに真っ暗なんだよ。 「……大…さ…」 ゆ、揺れてる? 地震か? 俺はそこでやっと、自分が目蓋を閉じている事に気付く。 なんだよ。 暗いのは自分のせいかよ。 俺はゆっくりと目蓋を開けた。 最初、強烈な光が網膜を刺激して、また閉じかけたが、すぐに慣れる。 天井の木目が見えた。 寝転んでる? 俺はそれだけを認識する。 なんだか頭がボーッとして、脳が働かない。 「起きろッ」 そんな一言が鼓膜を震わすと同時、右脇腹にかなりの衝撃と、激痛が走る。 よって、俺は奇妙な声を上げ、右脇腹を押さえて、伸ばしていたであろう身体を縮めて悶えた。 蹴られた…。 しかも、いつもより強めに……。 激痛が堪えきれるほどに治まってきたのと同時に、上半身を起こした。 視界の隅に捉えた、蹴ってきた野郎を睨む。
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