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男としては長い髪。
線の細い顔は綺麗に整っており、人を射るように鋭い目は、クールさを醸し出している。
女ならキャーキャー言って囲みそうな美男子だが、男である俺には関係ない。
「おい大次! 人を起こすのにいちいち蹴るなって、何度言えばわかりやがるっ!?」
「煩い」
俺の訴えをたった一言で切り捨てた野郎。
「洋大さん」
俺が更に食い掛かろうとしたら、野郎とは反対側から、つまり背後から呼ばれる。
俺がそちらを見やると、少女が一人、そこに正座していた。
肩まで後少しで届きそうなショートヘア。
ふっくらとした卵型の顔に、大きな瞳が二つ並んでいる。
今はその瞳が、泣きそうに目尻が吊り下がっていた。
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