#1 十年後

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「なんでもねえよ。心配すんな」 「はあ…」 「おい、洋大。昼寝するのは構わないが、昼メシはどうするんだ?」 「ああ? 昼メシ?」 「そうでした」 俺が野郎を見上げると、少女がパン、と手を打ち鳴らす。 「洋大さん。お昼どうします? 一応用意はしてますけど…」 少女に言われて、居間から食欲をそそるイイ香りが漂っている事に、俺の嗅覚が気付いた。 目を向ければ、居間の長卓の上に、カレーの盛られた皿が三つ、適当な距離を空けて置かれている。 「食べますか?」 「せっかく用意してくれたんだ。もちろん食べるよ」 「わかりました。なら、冷めない内に食べましょう」 「わかった」 少女と野郎が先に居間へと入り、俺は立ち上がる。 それから、空を見上げた。
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