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ただ、自分は『九尾』を悲しませたくなかった事は覚えている。
後ろめたさはあるが、後悔をしているわけでもない。
なんというか、絶対に会えると思うからだ。
この自信はどこから湧いてくるのかはわからないが、絶対に会える気がする。
もし会えるとしたら、今はどんな風に成長してんのかなぁ…。
「おい、洋大?」
おっといけねえ。
反芻してる内に口を動かすのを忘れていた。
どこまで話したっけかなあ……
「――まあなんだ……迷子になった時、妖族と会ってな。そん時の、一緒に遊んだ時の夢だったよ」
俺はそれで話を締めて、煙草の灰を脇に置いておいた灰皿に落とす。
「妖族?」
俺の背中に、意表を突かれたような視線が向けられる。
「ああ。とっても綺麗な雌狐さんだったよ」
俺は肺に紫煙を吸い込む。
「雌狐か……。誑かされたな、お前」
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