#1 十年後

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「どうせ家にいても何もしないんだ。一緒に来い」 「やなこった。昨日は充分こき使われたんだ。今日ぐらい休ませろ」 「それは、お前が一昨日の仕事をサボったからだろ?」 「うっ……」 痛いところを突かれた。 言葉が詰まる。 「――逃げの口実はもうないな? 行くぞ、洋大」 今の大次には、先程のような柔らかさはない。堅い感じだ。 これが仕事の時の表情。 「おい洋大」 俺が黙していると、大次が苛立ったように俺を呼ぶ。 「――あーあーわかったよ。行けばイイんだろ行けば」 半ばヤケクソで立ち上がる。 「頑張って下さい。お二人とも」 俺と大次は、神無ちゃんの笑顔に見送られて、居間から出ていく。
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