#2 再会(前編)

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何を隠そう、俺は『陰陽師』。 陰陽五行思想の下、妖怪退治を生業とする職業に、未成年でありながら就いている。 まあ、好きでこの職業に就いているわけじゃないけど。 陰陽家である我が家の主に無理矢理やらされていると言った方がイイだろう。 そして、俺はその陰陽家に居候している。 居候とは言っても自称しているだけで、戸籍上、俺は養子になっている。姓だって、本当なら“近藤”だ。 詳しい事は聞かされていないが、産まれて間もない俺は、なぜかこの青山神社に養子として引き取られたらしい。 実の両親など、顔すら見た事もないし、唯一教えてもらった“斉藤”という姓を手掛かりに探す気もない。 第一、会いたくない。 一度俺を捨てた両親に会っても、あまり喜べるもんじゃない。かえって、迷惑だ。 捨てた理由がなんにせよ、一度捨てたなら二度と会わないのが一番だろうと、俺は考えている。捨てた方からも、捨てられた方からも。
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