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おっと。
話が脇道に逸れすぎた。
最近多発している遭難事件には妖怪が関わっているという話だったな。
妖怪が関わっているとはいうが、その妖怪は普段は大人しい妖族じゃないし、無論極一部の人間でもない。
それは『悪霊』。
人の未練の塊だ。
人間の残留思念とも言えるから『怨霊』と言った方がピンと来るな。
人間に限らず、この世に生を授かった者は、死んだら身体から魂が抜け出して天国に昇ったり、地獄に落ちたりする迷信はもちろん知っていると思う。
だけど、迷信はしょせん迷信。
実際、生き物が死んでも魂が抜け出る事はない。
生き物が死ねば、魂――霊力の塊である『霊体』は消えてしまうのだ。
それが世の理。
ならば、なぜ悪霊が存在するのか。
それは、人が死ぬ時に抱く強い思いが、理を打ち消すほどの力を持っている……とでも言えばいいのだろうか。
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