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死に直面した時、人であれば誰もが抱く思い。――言うまでもないだろうな。
それは“生きたい”という思いだ。
その思いが、霊力によって成し遂げられるのかも知れない。
霊力とは、摩訶不思議な力なんかじゃなく、生命エネルギーそのものなんだから“生きたい”という願望に作用しても別におかしい事じゃない。
しかし、不完全な霊体である悪霊は、すぐに霊力が尽きて消滅する。
普通であれば、どんなものでも自身で霊力を生成するのだが、理に反するものであるためか、悪霊にはそんな機能がない。
そして、悪霊は生に対する執着心そのものである。
死んでいる彼らに適用するかは微妙だが、“生きる”ために彼らは常時霊力を補給し続けなければならない。
その糧となるのが、多量に霊力を宿している生き物。
だが、悪霊は配分という言葉を知らない。
一度食らいつけば、底を見せるまで霊力を吸い取る。
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