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生命エネルギーとも言える霊力が尽きれば生き物はどうなるか。その先に待つのは無論、“死”である。
悪霊に対する免疫も対策もない一般人のため、俺たち陰陽師は日々悪霊を退治しているわけだ。
だが、こんなに長い説明を唱えても、今日はなかなかと悪霊に出会さない。
まあ、暢気に煙草を吹かしている俺が言うのもなんだが。
「おい大次。まだ見つかんねえのか?」
イイ加減、ただ歩くのにも飽きてきて、堪えきれずに大次に声を掛けた。
「そんな事言うなら、お前も探せよ」
大次は俺に目もくれず、そう返してくる。
「やなこった。俺は探すのが大の苦手なんだ」
俺が軽く皮肉を籠めて言うと、大次は深々と溜息を吐いた。
立ち止まり、こちらに顔を向けてくる。その目に、呆れが含まれているのは言うまでもない。
「お前、そんなんで独立出来るのか?」
「大丈夫だろ」
大次の心配にも、俺は至ってお気楽思考で対応する。
大次、二度目の溜息。
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