#2 再会(前編)

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「なあ、洋大」 地面を踏みしめる音だけが支配する世界に、再び大次の声が響き渡る。 「なんだよ?」 俺は聞き返す。 「さっき言ってた妖族の話だが、この山の事なんだろ?」 「まあ、もっと奥の方だったけどな」 俺は最後の一口を吸って、紫煙を吐きながら、スニーカーの底に煙草の火をこすりつけて鎮火させる。 「どうせ来たんだ。ついでに探さないか? その妖族」 ジーパンの尻ポケットから取り出した携帯灰皿に、吸い殻を放り込み、蓋を閉めてポケットに戻す。 「無理だよ。例え見つけても、向こうは俺の事なんざ覚えてねえって」 そこで欠伸を一つ。 「それは、実際に会ってみないとわからないだろ?」 大次は微笑を湛えてこちらに顔だけを向ける。 俺はそれに肩を竦めて見せた。
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