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「特徴とかないのか? 外見や、服装でもイイから」
む。
こいつにしては珍しく、探す気満々じゃねえか。
「おいおい。十年も前だぜ? 変わってるに決まってるって」
「面影が残ってる可能性も充分考慮してるんだけどな?」
「……う~ん」
いきなり特徴と言われても、何せ十年前の記憶だ。漠然としか覚えていない。
「――まあ、紺色の着物に、淡いピンク色の帯を締めてたな」
「野生に棲む妖族は、着物を好むからな。それで?」
「これぐらいしか覚えてねえよ」
「……なんだ。服装だけじゃ、探そうにも探せないじゃないか」
大次は不平を言う。
「仕様がないだろ。十年前の事なんだからよ」と、一応言い訳はしておいた。
まあ、本当は九本の尾という決定的な特徴があるのだが、陰陽師としての意志が強い大次には黙っておく。
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