プロローグ

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「……ねえ。また今度遊ぼうよ。その時はウチに連れてってあげるから」 少年は少女にそう告げる。 すると、少女は視線を跳ね上げた。 「ほんとうっ?」 その目には嬉しさという名の輝きが満ちている。 元気を取り戻した少女の様子に、少年も嬉しそうな顔になり、 「うん、ほんとうだよ。おじいちゃんに頼んであげる!」 少年はにっこり笑顔で少女に言う。 少女は尚も少年に詰め寄り、 「ほんとうのほんとうだよっ」 念を押す。 少年は目の前に迫った少女の顔に怯んで、身体を反らす。そして何度も頷いた。 少女が小指を立てた手を少年に差し出す。 「なら指切りっ」 少年は少女の立てた小指をまじまじと見て、 「わ、わかったよ…」 それに自分の小指を絡めた。
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