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「そんなはっきり言うなよ、ネス……」
照れ笑いを浮かべていた弟弟子をネスティが容赦なく蹴落とし、マグナは部屋の隅で暗くなっていた。
「では、サクヤの話も聞いたし、今後のことで話をしよう。だが、その前に……」
みんなの顔を見渡したギブソンの視線がアメルたちレルム組のところで止まる。
「まず君たち3人で話し合ってきなさい。私たちと話すのはそれからだ。」
君たちは当事者だからね。
真剣な面持ちで告げるギブソンに頷いて、アメル、ロッカ、リューグの3人は部屋を後にした。足音が遠ざかるのを確認し、彼はマグナたちに向き直る。
「君たちはどうなのかな?」
その場にいる全員が(バルレルを除いて)顔を見合わせ、頷く。
「俺たちはアメルを守ります。」
強く言ったマグナにギブソンとミモザが満足そうに微笑む。
「なら、しばらくこの屋敷を拠点にするといい。2階には書庫もあるし、敵の情報が何か掴めるかもしれないからね。
さっきの騒ぎで駆け付けてきた騎士団には強盗だと言っておいたが、見回りを強化してくれるそうだ。少しは安全だよ。」
「しかし、それでは先輩方に迷惑が……」
「もう。まだそんなこと言ってるの?そんなこと気にしなくていいから、後輩は後輩らしく、先輩を頼りなさい!」
渋るネスティにミモザが人さし指をビシッと突き付けて笑う。2人の後輩は先輩の優しさに頬を緩め、頭を下げる。他の面々も(やっぱりバルレルを除いて)礼を述べた。
「それじゃ俺、3人の様子を見てくるよ。」
「あぁ、頼む。」
「オイ、ちょっと待て。“俺”って言ったよな?なんでオレ様まで行かなきゃならねェんだ!?」
自分の襟首を引っ掴んで歩き出すマグナに抗議するが、「いいからいいから!」とか言って強制連行される。
「一人で行けよ!オレ様は関係ねェッ!!」
「さ、早く行こうか。バルレル。」
「ぅおぃ!?人の話を聞きやがれッ!」
ジタバタ暴れるバルレルを笑顔で引きずり部屋を出て行ったマグナ。
「なんか……マグナの奴、イイ性格になったな……」
「え、えぇ…そうね……」
――なんだかミモザ先輩に似てきている気がする………
変わりゆく弟弟子の姿に、兄弟子は頭を抱えた。
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