第二話 再会と戦闘

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朝を告げるために小鳥が囀り、空は快晴。穏やかな朝をベッドで惰眠を貪り満喫する者が1名。 「主殿、朝です。起きてくださいまし。」 肩を軽く揺らしながら現在健やかな寝息を立てて眠る召喚主――マグナに声を掛けるが、返事はなし。 「主殿!じきに朝食もできます、起きてくださいな!」 「……ん~……」 さっきよりも少し強めに揺すり、声を大きくすると、眠そうに返事をしてヒラヒラと手を上げ、パタリと落とす。そしてゴソゴソと布団に潜り込んだ。布団をひっぺがそうとすれば、それよりも強い力で死守しようとする。 「…………困りました………」 ――あの馬鹿の寝起きの悪さは筋金入りだ。簡単には起きないぞ。 ネスティから聞いてはいたが、これは相当だ。こんなに寝起きが悪い人は初めて見る。街道で野宿した時はスッと起きていたはずなのだが… 「ムダよムダムダ!そんなんじゃコイツは起きっこねェよ。」 言いながら隣りに来たのはマグナの護衛獣であるバルレル。 「あのメガネが散々怒鳴り散らしてやっと起きるようなヤツなんだよ。」 「昨日はすんなり起きていたように思うのですが……」 「あン時は緊張が抜け切ってなかったんだろ。大した時間寝てなかったしな。」 腕を組み、呆れと不機嫌を綯い交ぜにした顔で言って、その表情のままこちらに視線を移した。 「ほっときゃそのうち起きンだろ。先降りて飯食うぞ、腹減った。」 まぁマグナも昨日の出来事で体力的にも精神的にも、相当疲れているだろうと思い直し、バルレルと共に部屋を後にした。 「バルレルさん……で合っていますか?」 「あァ?オレはお前に名乗ってねェぞ。」 「ネスティさんとフォルテさんから皆さんの名前は一通り伺っていまして……」 訝しげに答えるバルレルに説明すると、納得顔で頷き、最初の質問に肯定する。「テメェは?」と視線で促され、朔夜は微笑む。 「私はサクヤ・ツチミカドです。」 郷に入れば郷に従え。 リィンバウムでは家名は後なので、朔夜もそれに倣って名乗る。 「サクヤね……ま、気が向いたら呼んでやるよ。」
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