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街道を抜け、ボロボロになったマグナたちが頼ったのがこの2人。蒼の派閥という組織に属する召喚師で、マグナとネスティの先輩にあたるらしい。この屋敷は彼女らのもので、半ば転がり込んだも同然のマグナたちとを温かく迎え入れてくれた。
「朝ご飯もうすぐできますから待っていてくださいね。」
「なんだか悪いわねぇ…」
「いいえ。お世話になっている身ですから、これくらいは……勝手がわからなくて、簡単なものしか用意できなかったのですが……」
「いや、充分だよ。これだけの人数、大変だったろう。」
「いいから飯……」
長々と続きそうなやり取りにうんざりし始めたバルレルの声で、朝食作りが再開された。フォルテとケイナも降りて来て、一足先に朝食が始まった。
「ごめんなさいね。私も手伝ってあげられれば良かったんだけど……」
「お前が手伝ったら2人の仕事増えるだけ――ぶふぁっ!?」
柔らかく微笑んで言ったケイナが、何か喋ろうとしていたフォルテをそのままの表情で殴った。見事な裏拳を顔面に。思わず固まってしまった朔夜とアメルだが、他の面々はそのまま食事を続けていたので、とりあえず裏拳は無視の方向で。
「あ、あははは……」「お気になさらず……」
けれど、無視しきれずに生ぬるい笑みになってしまった。
「ネスティさん、コーヒーのおかわりはいかがですか?」
「あぁ、頼む。」
「あたし、パン見てきますね。」
パタパタとアメルがキッチンの奥に消えて、朔夜がネスティのカップを受け取ると同時に、食堂のドアがガチャリと開いた。
「ふぁ~………おはようございま~す。」
なんとも気の抜けた挨拶。
「おはよう、マグナ。昨日はよく眠れたかな?」
「はい、おかげでもうグッスリ!」
クスクスと笑いながらギブソンが声をかけると、にぱっ☆という表現がピッタリな表情でマグナが答える。
「いよぉ!先にメシにさせてもらってるぜ。」
「おはよう、マグナ。」
「相変わらず寝坊すけさんねぇ、私の後輩クンは。」
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