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あぁ、そういえば主殿の名前も知らないな。と今さらなことを考え、名乗る。
「朔夜…土御門朔夜と申します。」
「僕はネスティ・バスク。ツチミカドというのが家名か?」
「はい。こちらの世界では家名が後に付くのですね。」
アメルやフォルテ、という名前を聞いた時に薄々とは感じていたけれど……彼らの姿も日本人とはかけ離れているし。
「あぁ。君はシルターンの者か?」
「…しるたーん……とは?」
ネスティに問われて首を傾げる。まるで聞いたことのない単語。おそらくはどこかの世界の名前だとは思うが……
対して朔夜の反応にネスティは「まさか…」と冷や汗を流す。
「リィンバウムという名前に………心当たりはあるか…?」
「おいおいネスティ、リィンバウムを知らねえヤツなんかいねぇだろ。」
「ありません。」
「は!?」
緊張した面持ちで問うネスティを、フォルテがなにを当たり前のことを聞いてんだ、とばかりに笑うが、朔夜の返答を聞いて彼女を凝視する。ネスティはこめかみを押さえて大きな溜め息を吐いた。
「ロレイラル、サプレス、メイトルパ。これらにも…?」
頷くと、ネスティはさらに大きな溜め息を吐く。
「おいネスティ。俺にはちっとも話が見えねぇんだが……」
「……サクヤは四界のどれでもない、“名も無き世界”から召喚されたようだ…」
「「名も無き世界?」」
こちらの世界のことなどわからないサクヤはもちろん、召喚術に詳しくないフォルテが聞き返す。
「とりあえず、召喚術について説明しようか。」
順を追って説明しないと、わけがわからなくなるからな。
「僕たちが住むこの世界の名前は“リィンバウム”。そしてリィンバウムを取り巻くように4つの世界が存在するんだ。」
それが機界ロレイラル、鬼妖界シルターン、霊界サプレス、幻獣界メイトルパ。
そこまで言って、ふと思う。
「君はマグナ…あそこで寝ている馬鹿に召喚された時、少しも動じていなかったな?」
スヤスヤと気持ち良さそうに寝ている青年を指差す。朔夜の召喚主はマグナというらしい。
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