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「……責めないのか……?」
事故で召喚して、戦いに巻き込んで…挙げ句、故郷へ送り返せないというのに。
「…責めたところで、何も変わりはしません。こちらに呼ばれたのも“そうなる運命だった”と受け止めて、マグナ殿のため、この力を奮いましょう。」
「肝が据わってんなぁ、お前さん。」
普通の人間が聞いたなら、半狂乱になってマグナたちを責め立てるだろう内容を聞いても表情も変えず、淡々と言い放つ朔夜にフォルテが感心したような声をあげた。
「故郷に未練があるわけでもないので……気ままに一人旅をしていたところを召喚されただけですから。」
苦笑してみせると、ネスティも苦笑した。
「ありがとう……よろしく頼むよ。」
あの馬鹿は叱っておくから。
「こちらこそ、よろしくお願いします。」
互いに微笑んで、空に視線を移した。月と星々が輝いていたはずの夜空は、すでに白み始めていた。
「そんじゃま、みんなを起こして、そろそろ出発するか!」
焚き火を消しながら言うフォルテに頷いて、マグナたちを起こしにかかる。赤と黒に追いつかれぬよう、彼らは急ぎ足で街道を進んだ。
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