憂鬱は杞憂も原因

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毛布の間から、ブロンドの髪がはみ出ていた。金色の髪が、寝癖で跳ねている。 桑はケホケホと咳き込む。 頭がくらくらして、ぼーっとする。 顔も火照っていた。 彼の寝ているベッドのシーツは糊で固めたように張りがあり、ホテルのベッドのように整っていた。 掛け布団も上質な羽毛で、そのカバーもビシッとしてしわがない。 扱っている物は全て高価なものだが、部屋はそんなに広くない。 それは父の提案だった。 一般にしては少し値段の高いマンションに住んではいるが、彼の家柄にしてはとてもちっぽけなマンションだ。 執事もメイドもいないし、学校まで送り迎えしてくれるリムジンもない。 全ては出所がバレないように装うためだ。 この物騒な世の中、金持ちを狙う輩がいても可笑しくない。image=305300005.jpg
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