始まり

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 彼女が手を揺らすと光が弾けた。  彼女が飛び跳ねれば、光が弾け飛ぶ。  僕は目を擦る。彼女の舞い踊る姿を観て、心が高鳴った。一瞬、背に羽が見えたのは、気のせい。  だけど、もと思う。彼女を見ていると天使を思わせる。彼女の踊りは圧倒的だ。美しく、可憐。見るものがみなため息を零す。  色素の薄いブルーの瞳。肌は陶器のように白く、髪は腰まで長く、透けた茶色をしていた。何よりも、深紅に染まった口元が微笑むのは、格別だ。  歳の頃は僕と同じで、15、6歳のように思える。なのに、僕よりも年が上のように感じられた。
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