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彼女は「リオ」、そう呼ばれている。だが実際は、名前は違う。ここ-サーカスに来た頃には、言葉が話せなかった。なので名前は誰も知らない。団長が『リオ』と名付けた。
僕は彼女をひと月前に、連れて来た。買い出しをしている最中での出来事。
突然の雷雨にみまわれ、町の民家の軒下に隠れた。僕は両手一杯の荷物を抱え、雨空を見上げた。
(通り雨かな)
壁に寄り掛かり、少しの時間を過ごした。雨は段々と小降りに変わり、じきやみそうな気配がした。
僕の視線に飛び込んできた少女。雨の中歩いているせいで、頭から爪先までびしょ濡れだ。
「こっちにおいで!」
僕は少女に声かけていた。
少女は僕の方を見て、ひとつ頷くと、僕の方へ走り寄ってきた。
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