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あいかわらず蝉の求愛が止まない夏真っ只中。気温は28℃を記録。それにしても暑い。 ハンカチで汗を拭うオッチャンを窓越しで見ながら、俺はじっとしていた。 なぜなら、今日は取り立て屋が来るからだ。
良い所なんて、来客にもかかわらず部屋を掃除しなくていい以外何もない毒野郎だ。
時計の針は10時を指した。
それと同時に…
『いるんやろ!開けんかい! 橋本!』
そう、俺は橋本。橋本洋。正解したからって開けませんよー。
俺は得意の居留守をかます。
『借金、返せへんねやったら、良い話があるんやけどなぁ?』
んなわけない。
『のらんか?』
のるわけない。
………でも、こんな話を持ちかけてくるとは、珍しい。まさか……?
『しょうがないのぅ、二度とこんなチャンスはないと思えや!』
ちょいまち!
俺は扉を開けていた。
そこには見慣れた取り立て屋、ヤンキー調の声のパンチパーマ、金田がいた。
金田はニヤリと笑い、『ようきた。よし来い。』
俺は鍵もかけず家をでた。
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