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「少なくとも、俺は死ぬつもりはねえさ」
「…それは俺とて同じだ」
「お、んじゃ仲良子好で協力だな」
「…伊達と真田、猿飛はもう出されているのだろう」
「だろうよ、下から聞こえるやかましい声が聞こえねえし」
「相変わらずお前は耳だけはよいな」
「お前がわりーんだよ。すっげ煩かったぞあの三人」
次は俺らだろうよ。逃げ切ってやろうぜ元就。
たまには鬼に追いかけられるってのもオツだろ?
死ぬ、というリスクつきの鬼ごっこなど。誰もやろうとしないだろうが。
生きるために殺し、殺せば血を見る、血を見れば前世を思い出すことにもなる。
それでも俺たちは、昔のように笑っていられるのか?そもそもこの笑顔はまだ笑顔と呼べるものなのか?
既にあの三人の誰かが過去の疚しい記憶に打ちのめされ、錯乱をおこしているやもしれぬ。
誰かが既に、死んでいるやもしれぬ。
明日には、俺達の喋る音さえ響かないかもしれない。
「……夜が明けるぜ。そろそろ俺らも出されるだろうよ。屈伸しとけ屈伸」
「………ああ」
極刑が俺達に下される。
走れ。ただそれだけ。取り戻せ。灰色でも確かに色さえついていた日を。
死ぬな。ただそれだけ。殺せ。自分が生き残り笑うために。
5人でまた。
(俺達は、死という現実から逃れるために幸せを装った日々を生きている。)
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