ザイニン.

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  薄暗い部屋。苦しい場所。 揺れる影が二つ、蠢いた。   「鬼ごっこ、だとよ。アンタは好きか?そういうの」   笑い飛ばしながら隻眼の男は独り言のように語りかける。 揺れた、影がもう一つ。   「…強ち嫌いではない」   落ち着いた低い声。 こちらのまだ若いだろう男も笑い気味だ。   冷たい床に座り、鉄格子の向こうにいる警備兵らしき影を睨みつけながら。 長らく腰を持ち上げた様子はない。   姿は全身制服のようなものをまとい。 学校や学院のような印をどこにもつけていない。全身真っ黒なスーツのようにも見える。 茶髪の男は暑そうに胸元の服を煽った。   「2人以上逃げ切って敵を全員殺せば願いを叶えてくれんだと。だが捕まればその場でThe.end」 「遊びにしては恐ろしい遊びでありますな」   「right.but、こっから出れるんだぜ?何年此処にいることやら」   「走り回って逃げ回ってみまするか」   「Ha」   時、隻眼と鋭い両眼が怪しく光る。 20代にも達していないであろう容姿。 苦しく狂気に歪み、命のやり取りを鼻で笑う心。   警備員が不意に二人のいる牢へ近づき、がしゃんと鍵の降ろす。 冷たい軽蔑の色を含んだ目で二人を一瞥した後、顎で出入り口を指した。 反応を見せない二人。が、やがて立ち上がり、警備員に挨拶をすることもなく指された場所へと足を進め。   「場所は?」   「4Fの中央」   「はァ?どこだそれ」   「知りませぬ。昨日どこぞやの者が伝えに来た時言っていたでありましょう」   「まァいいや」   音を立てて頭をかきながら男は興味のなさそうな顔で吐き捨てる。 茶髪の男もそれはそれで興味は左程ないらしい。 それっきり黙ると両眼を鋭く細めて階段をあがっていくばかりだった。   かつんと、止まった足音の先には広い、一つの都市を思わせる擬似の世界。 車もなく、動物もいない、灰色の世界。   「…さァ、血まみれたpartyの開幕だ」      
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